アナウンサーの原点

今日から新年度。
学校や職場など、新たなスタートを切る方もたくさんいらっしゃることと思います。

私も「アナウンサー」という仕事に就いて、今年で11年目を迎えました。月日の流れの早さを実感するとともに、今日に至るまでアナウンサーとしてお仕事を続けられている環境やご縁に、感謝の気持ちでいっぱいです。

改めて振り返ってみると、私の社会人一年目、新人時代は“アナウンサーとして”というよりも、まずは正しい日本語や社会人としてのマナーを身につけること、そして会社に慣れることに必死で──自分がいかに無知で無力なのかを突きつけられる毎日でした(笑)。

新しいことを教わるたびに、「少しでも早く多くのことを吸収しなければ!」と、ひたすらがむしゃらに自分を鼓舞していた記憶があります。

環境も、人間関係も、仕事内容も──すべてが初めて尽くしの私に、会社の先輩方は熱心に指導し、温かく見守り、励ましてくださいました。

特にアナウンサーの先輩方は、本当に面倒見がよく、プライベートでも仕事でもたくさんの時間を一緒に過ごさせていただき、今でも可愛がってくださる方々ばかりです。

そんな先輩方から、正しい日本語の使い方や言葉遣い、話し方や言い回しに至るまで、アナウンサーとしての心構えをたくさん教わりました。

今日は改めて、私をここまで育ててくださった先輩方や、支えてくださった皆さんに感謝の気持ちを込めて、「アナウンサーという“伝え手”として、今も大切にしていること」をいくつか紹介させていただきたいと思います。


ひとつ目は、
“私たちの仕事は、紹介させていただくモノや場所や人を輝かせることなんだ”ということ。

何かを紹介する立場として、自分の役割をきちんと理解していないと、ときに自分の存在のほうが目立ってしまい、本来の“主役”が霞んでしまうことがあります。

特に新人時代は、「少しでも上手に見せたい!」と一生懸命になりすぎて、周りが見えなくなってしまい、結果的に相手に失礼になってしまった──そんな経験もありました。

紹介させていただく素敵な方、モノ、場所を、より一層輝かせられるように。
それがアナウンサーとして、常に忘れずに心に留めている“基本”です。


そしてもうひとつ大切にしているのは、
“自分がすべて出る”ということ。

カメラの前や人前だけで言葉に気をつけていても、土壇場や有事のときには、普段の言葉遣いや人間性が自然と出てしまいます。
これは本当に怖いことだと思っています。

まずは「かっこよく見られたい」「できる人と思われたい」──そういった“自分を守る気持ち”を一旦手放して、それよりも「また会いたいと思われる人」とはどんな人だろう?と考えるようにしています。

そうすることで、自然と選ぶ言葉や立ち居振る舞いも変わってくる気がするからです。

新人の頃に苦戦した正しい言葉遣いや言い回しには慣れてきた今、私がいちばん大切にしているのは、“正しい”言葉を選ぶこと以上に、“また会いたいと思われる自分になる”こと。

正しい日本語を基本として身につけることは大前提。

でもそのうえで、“温度感のある言葉”こそが、何よりも相手の心に響き、信頼してもらえるのではないか──そんなふうに思うようになりました。


先日、企業の役員をされている60代くらいの男性にお話を伺う機会がありました。

その方はとても柔らかく、品のある雰囲気をまとっていて、自然体なのに相手に余計な気を遣わせない。
さりげないユーモアで場を和ませる、とてもエレガントな方でした。

その方の言葉遣いの美しさと、にじみ出る人柄が調和していて、お話を聞いていてとても安心感がありました。どんな言葉を選んで相手に伝えるか以上に、どんな気持ちで相手と接するか。
相手へのリスペクトや感謝の気持ちがあれば、自然と柔らかく、届きやすい言葉を選ぶようになる──そんなふうに思うのです。

例えば別れ際に「ありがとう」と伝えるときも、私はできるだけ“理由を付け加えること”を意識しています。

どうしても急いでいたり余裕がなかったりすると、「今日はありがとうございました!」と一言で終わらせてしまいがちですが、なんだかちょっと物足りないですよね。

せっかくなら、
「今日は素敵なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。」
「◯◯さんのこんなエピソードを聞くことができて、すごく良い時間を過ごせました。ありがとうございました。」
といった具合に、具体的な理由をプラスしてお礼を伝えることで、丁寧な印象になり、より感謝の気持ちが伝わるのではないかと思うのです。

最初は理由を伝えることに少し恥ずかしさもありましたが、意識しているうちに慣れてきて、今では抵抗なく感謝の気持ちを口にできるようになりました。

ビジネスシーンだけでなく、家族や友人といった身近な人にこそ、こうした気持ちを忘れずに過ごしていきたいですね。


アナウンサーとして学ばせてもらったことは本当に数多く、書ききれないのですが、その中でも特に大切にしている2つのことを紹介させていただきました。

みなさんのお役に立てるかどうかはわかりませんが、またブログなどで、少しずつ綴っていけたらと思っています。

なんだか長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

普段の私をご存じの方なら、「急に真面目な話をしてどうした?」と心配されてしまうかもしれませんね(笑)。

でも、こうして文章にすることで、あらためて、応援してくださったすべての皆さんへの感謝の気持ちがあふれてきました。

アドバイスをくださった方、叱って励ましてくださった方、信じて見守ってくださった方、そして今も一緒にお仕事している方──本当にありがとうございます。

“伝え手”としても、“人”としても、より一層厚みを増していけたらと思っています。

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

そして、新社会人や新しい環境でスタートされる方は、“初”を武器にして、なんでもトライしてみてください。
失敗を恐れず、楽しみながらチャレンジして、ご自身の糧にしていってくださいね。

それでは、2025年度も明るく、楽しく、軽やかに!

ますます素敵な一年になりますよう、応援しております!